2025年・新年のごあいさつ
あけましておめでとうございます。
旧年中は格別のご高配を賜り誠にありがとうございました。
本年も何卒よろしくお願い申し上げます。
2025年の世界経済と日本経済は、いずれも「成長の持続」と「構造的な制約」のあいだで揺れ動く一年になることが予想される。プランワークス政策研究所としては、通商、AI(人工知能)、人口減少という三つの軸に焦点を当て、政策と実務をつなぐ分析・提言を重ねてまいります。
いかに2025年の見通しをまとめました。
世界経済:通商秩序の揺らぎと分断リスク
世界経済は、パンデミック後の回復過程を経て、インフレ・金利上昇・地政学リスクの重なりのなかで「低成長が常態化しかねない局面」に差し掛かっている。そのなかで2025年は、とりわけ通商を巡る緊張の高まりが、成長と投資マインドにじわじわと影を落とす年になる公算が大きい。
トランプ大統領による相次ぐ関税措置は、米国と中国のみならず、同盟国・友好国を含む広範な国々に波及し、世界のサプライチェーンと貿易フローの再編を促している。短期的には、関税引き上げと報復措置を通じて、世界成長率が数年にわたり0.数%ポイント押し下げられる可能性が指摘されている。同時に、通商ルールを巡る多国間枠組みの機能不全が続けば、世界経済の分断とブロック化が進み、中長期的な生産性と潜在成長率の低下につながりかねない。
こうした状況のなかで、通商政策はもはや一部の専門家だけの議題ではなく、企業の投資判断や労働市場、地域経済の将来像に直結するテーマになっている。当研究所は、通商ショックを「外生的な危機」として受け身で捉えるのではなく、「サプライチェーン再編と経済安全保障の再設計」という視点から、リスクと機会をともに見据えた分析を行っていきたい。
日本経済:人口減少下の成長モデルをどう描くか
日本経済は、名目・実質ともに一定の回復を見せつつも、長期的には人口減少・高齢化が成長の重い制約としてのしかかる構造に変わりはない。生産年齢人口の減少、地域間格差の拡大、社会保障負担の増大といった課題は、2025年も引き続き日本経済のボトルネックとして意識される。[dir.co]
これまでの日本は、外需と円安、財政・金融政策の組み合わせによって景気の下支えを図ってきたが、人口減少局面では「量」よりも「質」を高める成長モデルへの転換が不可欠になる。具体的には、
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労働参加率のさらなる引き上げ(女性・高齢者・外国人材など)
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地方・中小企業の生産性向上
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人への投資(教育・リスキリング)と技術導入の同時推進
といった課題が、マクロ経済運営と地域政策双方の共通テーマとして浮かび上がっている。
人口減少は、単なる「縮小」ではなく、社会の設計を問い直す契機でもある。当研究所は、人口動態と経済・財政・地域社会の関係を中長期の視点から捉え直し、「縮小を前提にしつつ、豊かさを維持・再構成するモデル」を具体的な制度設計とセットで検討していく。
AIと経済構造:生産性革命と格差拡大の両面
2025年のもう一つの大きなテーマが、生成AIを含むAI技術の急速な実装である。AIは、ホワイトカラー業務を含む幅広い分野で生産性向上と業務変革をもたらす一方、職務内容や必要スキルの再定義、格差拡大や雇用の置き換えへの懸念も伴っている。
企業レベルでは、ドキュメント処理、コーディング支援、顧客対応、データ分析などでAI導入が進み、「AIを前提にした仕事の組み立て方」が問われ始めている。マクロの視点では、AIが労働生産性をどの程度押し上げるか、またその恩恵がどの階層・どの地域にどう分配されるかが、今後の成長と格差の行方を左右する。
日本にとって重要なのは、AIを「効率化の道具」にとどめるのではなく、
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人手不足・人口減少を補う基盤技術
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地方・中小企業を含めた生産性底上げの手段
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公共サービスや行政の質を高めるインフラ
として位置付け直すことである。当研究所は、AIの経済的インパクトだけでなく、法制度・倫理・労働市場・教育への影響を一体として捉え、日本社会に適した実装モデルを探る研究を進めていく。
通商・AI・人口減少を結ぶ研究方針
プランワークス政策研究所は、2025年の研究方針として、通商・AI・人口減少という三つのテーマを「別々の論点」としてではなく、相互に関連し合う構造として扱うことを重視する。通商ショックはサプライチェーンと産業構造を変え、AIは仕事と生産性の中身を変え、人口減少は需要構造と財政・社会保障の制約を変える——これらはすべて、日本がこれからどのような成長・分配のモデルを選ぶかという一つの問いにつながっている。
具体的には、次のような方向で研究・発信を進める。
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通商:トランプ関税や地政学リスクを踏まえた日本企業・地域経済への影響分析と、サプライチェーン再編・通商戦略の選択肢提示。
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AI:産業別・職種別の影響評価、AIガバナンスと法制度の論点整理、行政・公共サービスへの実装可能性の研究。
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人口減少:地域別人口動態と経済構造の分析、社会保障・財政の中長期シミュレーション、移民・労働市場・教育政策の組み合わせ検討。
そして何よりも、データやモデルだけに閉じず、現場の企業、自治体、現に働く人々の声を踏まえた「実務に使える政策研究」を志向する。
結びに
不確実性が高まり、将来の見通しが立てにくい時代だからこそ、「短期の景気循環」と「長期の構造変化」の両方を視野に入れた政策議論が求められている。プランワークス政策研究所は、2025年も、通商・AI・人口減少という三つの軸を手がかりに、現場と制度、国内と国際、今日と将来をつなぐ知的基盤としての役割を果たしていきたい。
本年も、皆様からのご指導・ご意見を賜りながら、より良い政策と実務のあり方をともに考えていければ幸いである。


